楽天とOpenAIのパートナーシップ:生成AIを活用した顧客インサイトの創出
楽天はOpenAI APIを統合し、エコシステムデータから価値を引き出す
楽天はOpenAIのモデルを活用し、取引、行動、社内ビジネスデータの膨大なリポジトリを実用的な顧客価値とビジネス価値に変換しています。これらのデータ資産と生成AIを組み合わせることで、楽天は「AIでエンパワーメントされた企業」への転換を目指し、顧客とのやり取りの自動化と非構造化データからの構造化インサイト抽出に注力しています。
技術的実装とユースケース
楽天はOpenAIのAPI、Retrieval-Augmented Generation(RAG)、Code Interpreter を組み合わせ、社内ナレッジベースやPDF・Word ファイルなどの非構造化ドキュメントを含む複雑なデータソースを処理しています。
自動顧客サービス
楽天はOpenAIのAPIを通じて内部ナレッジベースにRAGを導入することで、顧客サービスの応答時間を数日から自動応答へと短縮しました。この変化により、運用効率とユーザーサポートの速度が大幅に向上しました。
構造化されたユーザーレビュー要約
ショッピング体験を向上させるため、楽天はAIを活用して主要トピックを抽出し、数百件のユーザーレビューを要約する機能を開発中です。これにより、顧客は個別のレビューを手作業で読む代わりに、構造化された形式で製品情報にアクセスできるようになります。
B2B ナレッジ取得
楽天のB2Bコンサルタントは生成AIを用いて企業データから実用的なインサイトを導き出し、加盟店や企業に市場分析や販売トレンドを提供し、デジタル環境での競争を支援しています。
日本市場におけるセキュリティ、プライバシー、信頼
楽天はユーザーとクライアントの信頼を維持するため、セキュリティとプライバシーのガードレールを最優先しています。これは日本の規制・社会環境におけるイノベーションの重要要素と見なされています。徹底したデューデリジェンスの結果、楽天はOpenAIのセキュリティへの取り組みを評価し、パートナーとして選定しました。
今後の方向性:リアルタイム音声とビジョン
楽天はリアルタイム音声およびビジョン機能を統合し、会議のアクション項目やメールコミュニケーション、マルチリンガル翻訳のために内部音声データを処理することで、AI機能の拡張を計画しています。
さらに、楽天は会話型AIへシフトし、ユーザーの嗜好をより深く理解しようとしています。楽天グループ株式会社のAI for Business部門ゼネラルマネージャーである梶祐介氏によれば、会話入力はクリックやインプレッションといった従来の代理指標に比べ、ユーザーの課題や嗜好を直接的に把握できると述べています。
「クリックやインプレッションはユーザーの嗜好の代理に過ぎません。LLM をユーザー体験にさらに統合することで、会話入力を通じてユーザーの課題や嗜好を直接的に理解できるようになります。」
この会話データを取得・管理することで、楽天は製品ラインナップとサービス品質をさらに洗練させることを目指しています。