OpenAIによるエージェント構築のための新しいツール

OpenAIは、信頼性が高く、プロダクション環境に適したAIエージェントの開発を簡素化するために設計された、新しい一連のAPIとツールをリリースしました。これらのツールは、エージェントアプリケーションのための標準化されたビルディングブロックを提供することで、広範なプロンプトの反復や複雑なカスタムオーケストレーションロジックといった、開発者が直面する一般的な課題に対処します。

Responses API: 新しいエージェント・プリミティブ

Responses APIは、Chat Completions APIのシンプルさとAssistants APIのツール使用機能を組み合わせた、新しいAPIプリミティブです。これにより、開発者は単一のAPIコール内で、複数のツールやモデルのターンを使用して複雑なタスクを解決できるようになります。

主な機能と統合

  • 統合された設計: このAPIは、アイテムベースの設計、よりシンプルなポリモーフィズム、および直感的なストリーミングイベントを特徴としています。
  • 開発者向けヘルパー: モデルのテキスト出力をより簡単に取得するための response.output_text のようなSDKヘルパーが含まれています。
  • データストレージ: トレーシングや評価を通じてパフォーマンス評価を容易にするためにOpenAI上でのデータ保存をサポートしていますが、デフォルトではビジネスデータがモデルのトレーニングに使用されないことが保証されています。
  • APIの関係性: Responses APIはChat Completions APIのスーパーセットです。組み込みツールを必要としないユーザーにはChat Completionsも引き続きサポートされますが、OpenAIは新しい統合にはResponses APIを推奨しています。

Assistants APIからの移行

OpenAIは、Code InterpreterやThreadのようなオブジェクトのサポートを含め、Responses APIとAssistants APIの機能の完全な同等化に向けて取り組んでいます。機能の同等性が達成され次第、Assistants APIは正式に非推奨となり、2026年中盤に終了する予定です。

組み込みのエージェントツール

Responses APIは、モデルを現実世界のデータやインターフェースに接続するための3つの主要な組み込みツールを導入しています。

Web Search

Web searchは、インラインの引用を伴う、速くて最新の回答を提供します。これは gpt-4o および gpt-4o-mini で利用可能であり、ChatGPTの検索に使用されているものと同じモデルによって駆動されています。

  • パフォーマンス: SimpleQAベンチマークにおいて、GPT-4o search previewは90%、GPT-4o mini search previewは88%のスコアを記録しました。
  • 可用性: Responses APIではプレビューとして利用可能であり、Chat Completions APIでは gpt-4o-search-preview および gpt-4o-mini-search-preview を介して微調整された検索モデルに直接アクセスできます。

File Search

File searchツールは、複数のファイル形式、クエリの最適化、メタデータフィルタリング、およびカスタムリランキングをサポートしており、大量のドキュメントから情報を取得することを可能にします。

  • ユースケース: Navanは、RAGパイプラインを介して、会社の出張規定のナレッジベース記事から正確な回答を提供するためにfile searchを使用しています。
  • 料金: 1,000クエリあたり2.50ドル、ファイルストレージは1GB/日あたり0.10ドル(最初の1GBは無料)です。

Computer Use

Computer-Using Agent (CUA) モデルによって駆動されるこのツールは、エージェントがマウスやキーボードの操作をキャプチャしてコンピュータのタスクを自動化することを可能にします。

  • ベンチマーク: CUAモデルは、OSWorldで38.1%、WebArenaで58.1%、WebVoyagerで87%の成功率を達成しました。
  • 安全性と信頼性: OSWorldでの成功率が38.1%であるため、OpenAIはブラウザ以外の環境では人間の監視を推奨しています。安全対策には、プロンプトインジェクションに対するガード、機密性の高いタスクに対する確認プロンプト、および環境分離ツールが含まれます。

オーケストレーションのためのAgents SDK

OpenAIは、シングルエージェントおよびマルチエージェントのワークフローのオーケストレーションを簡素化するために、オープンソースのAgents SDKをリリースしました。このSDKは、実験的なSwarm SDKの進化形です。

コア機能

  • Agents: 特定の指示とツールを持つ、構成可能なLLM。
  • Handoffs: エージェント間でインテリジェントに制御を転送するためのメカニズム。
  • Guardrails: 入出力の検証のための構成可能な安全性チェック。
  • Observability: エージェントの実行を可視化し、デバッグするための統合されたトレーシングツール。

実装例

  • Coinbase: SDKを使用してAgentKitを構築し、AIエージェントが暗号資産ウォレットやオンチェーンのアクティビティとやり取りできるようにしました。
  • Box: Web検索と社内の非構造化データを組み合わせ、企業向けに安全で権限を考慮したインサイトを提供するエージェントを作成しました。

互換性

このSDKはResponses APIとChat Completions APIをサポートしており、Chat CompletionsスタイルのAPIエンドポイントを提供する他のプロバイダーのモデルとも互換性があります。現在はPythonで利用可能であり、Node.jsのサポートが計画されています。

Sources