米国の海洋観測イニシアチブの終了とその気候研究への影響

米国は、Ocean Observatories Initiative (OOI) を解体しており、オレゴン、ワシントン、アラスカ、ノースカロライナ、およびグリーンランド沖の海域から900以上の海洋センサーを取り外しています。この決定は、National Science Foundation (NSF) への予算削減に起因するもので、国際的な研究者にとって重大なデータの欠落を生じさせます。特に、2026年夏に太平洋沿岸に大規模なエルニーニョ現象が到来すると予想されている中では、その影響は深刻です。

海底海洋学データの決定的な喪失

OOIネットワークの撤去により、衛星では捉えることができないリアルタイムの亜表層データを収集する能力が失われます。衛星は海面温度やクロロフィル分布を提供できますが、低酸素帯や、最も重要な海洋学的信号が発生するその他の深海信号を測定することはできません。

オレゴン州立大学のエド・デバー教授は、これを「壊滅的な情報の喪失」と表現しています。2015年に開始されたOOIは、意味のある気候信号を検出するために、少なくとも30年間の継続的なデータが必要であることを考慮し、25年から30年のタイムラインで設計されていました。しかし、システムは予定されていた寿命のわずか10年で終了することになります。

気候および環境モニタリングへの影響

これらのセンサーの喪失は、海水温、海流、海面水位、および地震データのモニタリング能力に影響を与えます。この情報は、以下の主要な分野において不可欠です。

  • 漁業管理: リアルタイムデータは、魚類資源の管理や生態系の健全性の維持に使用されます。
  • 緊急計画: 海洋学的なデータは、災害への備えと対応に役立ちます。
  • 気候変動研究: 自然の変動と長期的な気候変動の影響による変動を区別するためには、継続的なデータセットが必要です。

Ocean Networks Canadaのケイト・モラン氏は、通常、10年という節目は、これらの傾向を抽出するためにデータセットが非常に有用になる時期であると指摘しています。この終了は、世界の科学コミュニティ全体のプロセスを中断させることになります。

地域および国際的な協力関係

OOIは、米国とカナダの長年にわたるパートナーシップに基づいて構築されており、1990年代後半のNeptune Projectから発展してきました。この協力関係により、海洋学は、特定の場所の特定の時点におけるスナップショットを提供する船による測定から、24時間365日のリアルタイム観測へと移行しました。

システムの大部分は解体されますが、University of Washingtonが管理する海底ケーブルネットワークは維持されます。この特定のネットワークは、火山活動や地震活動、ならびに地震早期警報や津波データに関するデータ提供を継続します。

Ocean Networks Canadaによる緩和策

データの欠落に対解処するため、Ocean Networks Canadaは、影響を受ける研究者や学生を支援する方法を模索しています。同組織は、大西洋南北方向の熱塩循環 (AMOC) を監視するために、大西洋システムからブイをアイスランドとグリーンランドの間の海域に展開することを検討しています。この海流は、熱と栄養分を運び、炭素を海洋深層へと転送することで、ヨーロッパの気候を調節する上で極めて重要です。

Ocean Networks Canadaは、主にCanada Foundation for Innovationから資金提供を受けており、さらに、海洋モニタリングシステムを強化するために2023年に5年間で4650万ドルの資金提供を発表したDepartment of Fisheries and Oceansからも支援を受けています。

Sources