欧州企業ウェブサイトは米国本社のインフラベンダーを主に利用

ヨーロッパの企業ウェブサイトは米国本社のインフラベンダーを主に利用

主な所見

ヨーロッパの企業は、公開ウェブプレゼンスにおいて米国本社のインフラベンダーに大きく依存しています。Cloudflare がすべての調査対象国で最も利用されているインターネット向けプロバイダーであり、米国ベンダーは英国とオランダではサイトの過半数を、イタリア、スペイン、フランスでは最多数(plurality)を占めています。


調査範囲と手法

  • データセット: ドイツ、ポーランド、フランス、イタリア、オランダ、スペイン、イギリスに登録された企業の 19,450 件の apex および www DNS レコード。
  • 期間: 2026年4月28日 – 2026年6月29日。
  • ベンダー属性付け: DNS の A/AAAA 応答を Routeviews 由来の BGP データ (iptoasn.com) を用いてアナウンス元自律システム (AS) にマッピング。AS のオペレータ名をキーワードリスト(Cloudflare、Amazon、Google、Microsoft、Fastly、Akamai、Squarespace、Wix、Shopify)と照合。マッチしなかった AS は「Other / regional」バケットに分類。
  • 米国本社の定義: 上記 8 社は米国に法人登記されており、エッジ POP やデータセンターの所在地に関わらず米国本社とみなす。
  • カウント規則: 企業はベンダーごとに 1 回カウント。同一ベンダーの IPv4 と IPv6 エントリは重複除去。

"ベンダーの分類は IP のジオロケーションではなく、AS オペレータ名に基づく。" – CipherCue 手法ノート


国別結果

分析企業数 米国本社ベンダー比率 Cloudflare シェア Amazon シェア その他米国本社 その他 / 地域
イギリス 918 67.5 % (620) 290 115 215 298
オランダ 2,241 53.6 % (1,201) 825 150 226 1,040
イタリア 2,350 48.4 % (1,138) 663 227 248 1,212
スペイン 1,427 44.6 % (637) 329 128 180 790
フランス 2,504 44.2 % (1,107) 706 173 228 1,397
ドイツ 5,679 31.0 % (1,763) 1,017 390 356 3,916
ポーランド 4,331 18.8 % (813) 660 69 84 3,518

解釈

  • イギリスとオランダは米国ベンダーが明確な過半数を占める唯一の市場です。
  • イタリア、スペイン、フランスでは米国ベンダーが最多数(44 %‑48 %)です。
  • ドイツとポーランドは米国シェアが最も低く、国内ホスティングエコシステム(例:Hetzner、IONOS(ドイツ); Home.pl、NetArt(ポーランド))が強固です。
  • Cloudflare はすべての国で単一最大プロバイダーであり、他の米国ベンダーや地域ホストを合わせた数を上回ります。

本調査が測定するもの

  • インターネット向けベンダー: apex または www ドメインに対する DNS クエリに応答する AS、すなわちエッジでトラフィックを提供する主体。
  • 除外対象: データセンターの実際の所在地、CDN 背後のオリジンホスティングプロバイダー、サブドメインサービス(例:SaaS API)、および契約上のサブプロセッサー関係。

"Cloudflare のような CDN・プロキシプロバイダーの場合、ここで特定されるのはインターネット向けの提供ベンダーであり、必ずしもオリジンホスティングプロバイダーではありません。" – CipherCue


限界と把握できない点

  • 物理的地理: 基盤データがどこにあるかは示されません。Cloudflare 前段のサイトでも欧州サーバー上にホストされている可能性があります。
  • サブプロセッサーチェーン: 米国ベンダーが利用する EU 拠点のサブプロセッサーについては情報がありません。
  • サービス固有設定: テナンシーモデル、地域データプレーン分離、コントロールプレーンの管轄は対象外です。
  • その他 SaaS スタック: メール、IAM、EDR、DNS、エンドポイント管理は調査対象外です。

コミュニティの反応

  • 依存のニュアンス: 多くのコメントは、米国ベンダーが EU 法に基づく EU データセンターを運営している点や、欧州が他分野(例:ASML のチップリソグラフィ、Nokia/Ericsson のネットワーク機器)でも米国技術に依存していることを指摘しています。

    "これらの米国ベンダーの多くは EU 法の下で EU にデータセンターを持ち、EU の法的実体を通じて運営しています…" – @jillesvangurp

  • 代替測定: CDN フロントエンドを除外した API サブドメインの別分析では、OVH や Hetzner といった欧州プロバイダーが支配的であり、CDN 重視の視点が米国依存を過大評価している可能性が示唆されています。

    "似たような調査を行った結果、結論は逆でした:欧州企業は AWS/Azure より OVH や Hetzner を利用する傾向が強いです。" – @AznHisoka

  • 市場の断片化: 多様な経済を単一の「欧州市場」として集約することは、ベンダーエコシステムやロックインリスクの大きな違いを隠すと批判されています。

    "これは欧州を単一の一貫した市場として捉えようとしていますが、実際はそうではありません… ベンダーロックインは現実です。" – @karambahh

  • 戦略的示唆: 主権に関する議論はスタックの深部で始まることが多く、組織はまず自社の公開サイトをフロントエンドしているベンダーを把握すべきだという指摘があります。

    "実務的なポイントは、すべての欧州企業が明日米国インフラをやめるべきだということではありません…" – 記事抜粋、@embedding‑shape に共鳴。


ステークホルダーへの示唆

  • 欧州インフラベンダー: このマップは、現在 Cloudflare が支配しているエッジ・CDN トラフィックを奪取できる明確な市場機会を示しています。
  • 政策立案者: 米国ベンダーへの露出率は、ICT サプライチェーンのレジリエンスに関する規制評価の定量的出発点となります。
  • 調達チーム: クラウドリージョンやサブプロセッサ条項を交渉する前に、まず自社の公開ウェブ資産の前面にどの米国ベンダーが存在するかを棚卸すべきです。

結論

CipherCue の調査は、ドイツやポーランドの強固な国内ホスティング部門があるにもかかわらず、米国本社のインフラベンダー—特に Cloudflare—が 7 カ国中 6 カ国で主要企業ウェブサイトの過半数または最多数を提供していることを示しています。分析は DNS レベルの属性付けに限定され、オリジンホスティングやサブプロセッサ関係は捕捉できませんが、デジタル主権、サプライチェーンリスク、欧州クラウド・エッジプロバイダーの競争環境に関する議論の具体的なベースラインを提供します。

Sources