Idefics2 8B ビジョン・ランゲージモデルリリース – アーキテクチャ、データ、パフォーマンス
TL;DR
Idefics2 は、Hugging Face がリリースした 80 億パラメータのオープンソースビジョン・ランゲージモデルで、視覚的質問応答(VQA)や OCR タスクにおいて最先端の性能を発揮し、🤗 Transformers と完全に互換性があるため、簡単にファインチューニングできます。
Idefics2 の概要
Idefics2 は、テキストと画像の任意のシーケンスを受け取り、テキスト応答を生成する汎用マルチモーダルモデルです。画像に関する質問に答え、視覚コンテンツを説明し、複数画像のストーリーを作成し、文書から情報を抽出し、基本的な算術演算も行えます。モデルは Apache 2.0 ライセンスの下でリリースされており、自由に使用・再配布できます。
技術的ハイライト
モデルサイズとアーキテクチャ
- Parameters(パラメータ): 8 B。Idefics1(80 B)に比べて 10 倍に削減しながら、優れた性能を実現しています。
- Backbones(バックボーン): 言語側は Mistral‑7B‑v0.1、視覚側は SigLIP‑SO400M‑Patch14‑384 をベースにしており、どちらも Apache‑2.0 ライセンスです。
- Vision Integration(ビジョン統合): 画像は NaViT 戦略を用いてネイティブ解像度(最大 980 × 980)で処理され、固定サイズへのリサイズを回避します。非常に高解像度の入力に対しては、SPHINX/LLaVA‑NeXT アプローチに従ったオプションのサブ画像分割(4 分割)を行います。
- Feature Fusion(特徴融合): 視覚特徴はエンコードされ、学習された Perceiver によってプーリングされ、MLP で投影され、テキスト埋め込みと連結して交互シーケンスを構成します。これにより Idefics1 で使用されていたゲート付きクロスアテンションが置き換えられ、マルチモーダル相互作用が簡素化されます。
学習データ
Idefics2 は、公開されているデータセットの混合で事前学習されました。
- Web documents(ウェブ文書): Wikipedia と OBELICS データセット(ウェブ文書からの画像‑テキストペア)。
- Image‑caption pairs(画像‑キャプションペア): Public Multimodal Dataset と LAION‑COCO。
- OCR data(OCR データ): PDF‑A(英語)、IDL、Rendered‑Text データセット。
- Image‑to‑code data(画像‑コードデータ): WebSight。
指示チューニングのために、チームは The Cauldron を作成しました。これは、マルチターン会話向けにフォーマットされた 50 の手作業でキュレーションされたマルチモーダル指示データセットのオープンコレクションです。Idefics2 は、The Cauldron と標準的なテキストのみの指示データを併用してファインチューニングされました。
パフォーマンスベンチマーク
Idefics2 は、8B スケールのモデルの中でトップクラスの結果を達成し、はるかに大規模な商用システムとも競合します。代表的なマルチモーダルベンチマークでの主要スコア(数値が高いほど良い)は以下の通りです。
| ベンチマーク | Idefics2(分割なし) | Idefics2(分割あり) |
|---|---|---|
| MMMU (val/test) | 43.5 / 37.9 | 43.0 / 37.7 |
| MathVista (test‑mini) | 51.6 | 51.4 |
| TextVQA (val) | 70.4 | 73.0 |
| MMBench (test) | 76.8 | 76.7 |
| VQAv2 (test‑dev) | 80.8 | 81.2 |
| DocVQA (test) | 67.3 | 74.0 |
これらの結果により、Idefics2 は DeepSeek‑VL、LLaVA‑NeXT‑Mistral‑7B、LLaVA‑NeXT‑13B といった他のオープン 7B/13B モデルを上回り、Gemini 1.5 Pro や Claude 3 Haiku といったクローズドソースの大規模モデルに迫る性能を示しています。
Idefics1 からの新機能
- Native‑resolution vision(ネイティブ解像度ビジョン): NaViT スタイルで最大 980 × 980 の画像を処理し、ディテールとアスペクト比を保持します。
- Enhanced OCR(強化 OCR): OCR に特化した学習データを統合し、画像・チャート・文書中のテキストの文字起こしを改善します。
- Simplified fusion(簡素化された融合): ゲート付きクロスアテンションを Perceiver プーリングと MLP 投影に置き換え、よりシンプルなアーキテクチャと高速推論を実現しました。
- Sub‑image splitting(サブ画像分割): オプションの 4 分割により、性能を犠牲にせず非常に大きな画像を処理できます。
これらのアップグレードにより、前モデルより 10 倍小さい にもかかわらず、大幅な性能向上 が実現されています。
はじめに
Idefics2 は Hugging Face Hub にホストされており、最新の transformers リリースで即座に使用可能です。以下の Python スニペットは基本的な使用例を示しています。
import torch
from PIL import Image
from transformers import AutoProcessor, AutoModelForVision2Seq, load_image
DEVICE = "cuda:0"
# Load example images
image1 = load_image("https://cdn.britannica.com/61/93061-050-99147DCE/Statue-of-Liberty-Island-New-York-Bay.jpg")
image2 = load_image("https://cdn.britannica.com/59/94459-050-DBA42467/Skyline-Chicago.jpg")
processor = AutoProcessor.from_pretrained("HuggingFaceM4/idefics2-8b")
model = AutoModelForVision2Seq.from_pretrained("HuggingFaceM4/idefics2-8b").to(DEVICE)
messages = [
{"role": "user", "content": [{"type": "image"}, {"type": "text", "text": "What do we see in this image?"}]},
{"role": "assistant", "content": [{"type": "text", "text": "In this image, we can see the Statue of Liberty in New York."}]},
{"role": "user", "content": [{"type": "image"}, {"type": "text", "text": "And how about this image?"}]},
]
prompt = processor.apply_chat_template(messages, add_generation_prompt=True)
inputs = processor(text=prompt, images=[image1, image2], return_tensors="pt")
inputs = {k: v.to(DEVICE) for k, v in inputs.items()}
generated_ids = model.generate(**inputs, max_new_tokens=200)
print(processor.batch_decode(generated_ids, skip_special_tokens=True)[0])
著者は、カスタムデータで Idefics2 をファインチューニングするための Colab ノートブックも提供しています。
リソース
- Model cards(モデルカード):
idefics2-8b,idefics2-8b-base,idefics2-8b-chatty - Datasets(データセット): The Cauldron, OBELICS, WebSight
- Demo spaces(デモスペース): Hugging Face Spaces 上のインタラクティブなプレイグラウンド
- Paper(論文): arXiv プレプリント 2405.02246
ライセンス
Idefics2 の重みは Apache 2.0 ライセンスでリリースされており、基盤となる Mistral‑7B と SigLIP バックボーンと同様のライセンスです。
コミュニティへの影響
高性能で完全にオープンソースの 8B ビジョン・ランゲージモデルのリリースは、マルチモーダル AI の研究や製品開発のハードルを下げます。モデルとキュレーションされた指示データセットの両方を提供することで、Hugging Face は大規模な商用システムのライセンス制約なしに、迅速なプロトタイピング、ファインチューニング、ベンチマークを可能にします。アーキテクチャの簡素化とネイティブ解像度処理は、将来のオープンモデルにおける効率的なマルチモーダル融合の新たなベンチマークを設定します。